2009/11/20 金曜日

施設にいるあなたへ

カテゴリー: 日記 — えーりん @ 3:19:37

といっても、僕はこの文章を読むあなたのことをよく知らないので、昔施設にいたときの自分や、そのとき自分の周りにいた子を想定して、伝えたいことを書きます。
僕はすべての施設を知っているわけでもないので、おかしなことも書くかもしれませんが、大目にみてやってください。

・やりたいことをやってもいい

もしかしたらあなたは、「自分のやりたいことをやる」ということを、なんだか悪いことのように思っているかもしれません。もしそうなら、あなたは今まで、「アレが欲しい!」とか「コレがやりたい!」とか言うと、わがままだと怒られたのかもしれません。施設という集団生活の中で、自分の意思で行動することは自分勝手だ、悪いことだと、しつけられたのかもしれません。

でも、本当は、あなたが自分の意思で何かを「やりたい!」という気持ちを持つことは、とても大切なことです。学校や施設での周りの子がやっているようなことを、「自分もやりたい!」と思ってやってみてもいいと思うし、周りでは誰もやっていないことをやりたいと思ってやるのもいいと思います。
勉強や、スポーツ少年団・部活や、資格試験や、アルバイト、遊びなど、やりたいことにいろいろチャレンジしてみてください。

やりたいことを一つずつやっていくうちに、将来なりたいものや、やりたいことも見えてくると思います。あなたは「今は子どもだから、そんなこと考えなくてもいい。」と思っているかもしれませんが(僕もそうでした)、時間がたつのは本当に、あっという間です。できれば早いうちから将来やりたいことを考えて、そのためにはどうすればいいかを周りの大人からアドバイスをもらって、そのためにコツコツと頑張ってください。

・自分の気持ちを相手に伝える、相手の気持ちを分かるようになる

施設にはたくさんの子どもや先生がいるので、人間関係でムカつくこともいっぱいあると思います。でも、いろいろな人がいるということは、ある意味とても恵まれています。

僕が施設にいて一番よかったと思うことは、先生たちといっぱい話をしてもらえたことです。いろいろな先生がいたので、それぞれのいろいろな考え方があることを知ることができました。今でも僕の人格の半分は、先生たちとの関わりの中で作られたと思っています。
先生たちと話をして、なかなか自分の気持ちを分かってもらえないときもあった気がします。それに人それぞれ言うことが違うので、何が正しくて何が間違っているのかよく分からなくなったりもしました。その中で、「大人だからといって、子どもの気持ちが何でも分かるわけじゃないんだな。」とか「人によって考え方は違うものなんだな。」とか気付いて、だからこそ、『人と人が話をして気持ちや考えを伝えることは大切なこと』なんだと思うようになりました。

あなたがもし、施設で生活していて嫌な気持ちになったら、ただ「ムカつく」と言うだけじゃなくて、たとえば「自分の部屋に置いてある自分の物がよく盗まれてなくなるから、本当に嫌だしなんとかしてほしい。」というように、何がどのように嫌で、どうしてほしいのかをきちんと伝えられるようになってください。嫌なことを嫌だと伝えなかったら、それは一生なくならないし、伝えることができれば、それを改善できるときもあります。
あなたがもし、嬉しい気持ちになったら、きちんと「ありがとう」と伝えましょう。それだけじゃなく、たとえば「いつもご飯がおいしくて、ご飯がおいしいと僕は嬉しいから、いつもありがとう。」という様に、あなたにとって何がどのように嬉しいのかを、相手に伝えられるようになってほしいと思います。相手も嬉しくなるし、どうしたらあなたが喜ぶかが相手に伝わるので、あなたはますます喜ばせてもらえるようになります。

あなたが自分の気持ちを相手に伝えられるように、相手の気持ちが分かるようになるために、友達や先生といっぱい話をしてください。自分の気持ちが理解してもらえないと感じることもあるかもしれないけれど、いろいろな人と話をしているうちに、伝えられるようになるし、相手の気持ちも最初はあんまり分かってあげられなくてもだんだん分かるようになります。施設での複雑な人間関係の中でも、あきらめずに、相手に伝える努力、相手を理解する努力をしてほしいと思います。

・人と信頼関係をつくる

あなたはもしかしたら、人を、特に大人を信じることができないかもしれません。それはたぶん、今までに何度か大人に裏切られたことがあったからだと思います。でも、そうなったのはあなたのせいではなくて、たまたまそういう経験をして、人を信じることが難しくなってしまったというだけです。

僕も最近になって知ったのですが、相手を信頼して、相手からも信頼されて、お互いに励ましあって助け合って喜び喜ばせ合う・・・そんな良い人間関係があります。
僕が今までそういう人間関係を作れなかったのは、相手が自分を信頼してくれても、自分が相手を信頼できなかったからです。信頼すると、ウソをつかれたときや、裏切られたときのダメージがでかいので、なかなか人を信頼することは怖くて難しかったです。でも、最近ようやくできるようになってきました。

偉そうに言うみたいですが、あなたにも、信頼できる人間関係をつくれるようになってほしいです。施設の先生には優しい人が多いし、信頼できる人が多くいるような気がするので、先生と話して関わって信頼できるような関係をつくってほしいと思います。施設の先生だけじゃなく、あなたが本当に信頼できる人に出会って、良い人間関係をつくれるようになることを願っています。

・施設を出る前に

あなたが施設を出た後、確実に、環境が大きく変わります。

今まで当たり前のようにあったものがなくなってしまいます。

毎日当たり前のように食べることができたご飯も、ご飯を一緒に食べる人も、うっとうしいほどいっぱいいた子ども達も大人たちも、いなくなります。

今あなたの周りにいる子は何かの事情があって施設にいる子ばかりだけど、社会に出たり大学に入った後、あなたの周りに施設で育った人はおそらくいません。もしかしたらあなたは、「なんで自分だけが施設にいたんだろうか」と考えて、自分の家庭環境を思い出したり思い出せなかったりして、誰にも相談できずに、どうしようもなく独りぼっちで、どこにも居場所がないように思ってしまうこともあるかもしれません。
できればそうならないように、誰か、信頼できる人とつながっていてほしい。生きがいを感じられるようになってほしい。欲しい物を手に入れられるように、やりたいことをやれる様になってほしい。そのために努力ができるようになっていてほしい。

児童養護施設は、あなたを一時的に預かるだけの場所ではありません。
あなたの人生の中でもっとも大事な、幼少期、成長期、思春期を過ごす大切な場所です。

施設を出る前に、

どうかあなたが、施設の中で、出会う人に恵まれて、機会に恵まれて、自分で考えながら、いろいろな経験をして、健全に成長できることを、心から願っています。


P.S.
小学生にわかるように書くつもりだったけど、普通に無理でした。

3つのいいコメント »

  1. ていねいで、まっすぐで分かりやすく、とってもステキ。
    読んだ後、自分や、周りの人や物事を信じてみようかなとおもえるような、
    そんな文章でした。
    この文章に出会ったら、何か動き出せるかも。

    うまくいえないけど、えーしん、すごいね。
    えーしんと出会えて、よかったよ。
    つるも、がんばる~。

    コメント by つる — 2009/11/24 火曜日 @ 13:15:11

  2. 読んでくれて、感想くれて、ありがとう!

    >ていねいで、まっすぐで分かりやすく、とってもステキ。

    僕が読まれたいように読んでくれたみたいで、すごく嬉しいです。

    この文章書くの、止めようかと何回も思ったんだよね。
    うまくまとまらないし、自分の悩みはそのまま人の悩みにはならないし、何かを表現するとき誰かを傷つけることもあるし、個人個人によって生い立ち・家庭環境とか全然違うし、施設によって環境は全然違うし・・・とか、書かない理由はいくらでも挙げることができた。

    でもつるからコメントもらって、やっぱり書いてよかったなーって思います。

    たとえば500人に読まれて、そのうちの5人くらいの考えを変えるきっかけになったり、行動を変えるきっかけになったとしたら、それはとても価値があるよね。

    コメント by えーしん — 2009/11/24 火曜日 @ 19:41:06

  3. 最初は施設の子向けに書いてたんだけど、後で読み返してみると、施設の先生にこそ読んでほしいような文章になった気もする。
    明確には書かなかったけど、「信頼関係を築いている途中に辞めないで」っていう施設の職員へのメッセージも込めてます。辞めるのは個人の自由だし、仕方ないんだけど。

    >えーしんと出会えて、よかったよ。

    俺もつると出会えてよかったよ。
    はくらの家で、いっぱいお話してくれてありがとう。

    コメント by えーしん — 2009/11/24 火曜日 @ 19:42:41

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